基地の通路――壁際に追いこめられた草食動物は震えていた。




快楽に。



「はぅ……」

マスクをとられ、唇を貪られて……透明な液体が塗られてしまった。どんな成分なのか気になるところだが、今はそんなことより疼く方をなんとかして欲しい。甘くて、熱くて……貴方を心待ちにした分じわじわと身体も心も制御できなくなっているソレを……。

「シャ、シャドー……」

トロンとした目は欲情した証。

装甲は腕や足の部分は残っているが、人間でいう大事な部分はすべて剥ぎ取られ、素体がむき出しになっている。

今の姿はかなり滑稽だな、と思うが、今己の熱を解放してもらうには、曝け出すしかないだろう。

胸の突起をつかまれ、全身がビクッと震える。

「ん……あ、くぅ……」

臥所を共にするのは初めてではない、恥ずかしがることでもない……でも、声をつい抑えてしまう。

それが初々しいといって目の前の男は喜ぶのだが……。

俺もまたソイツのその笑みが好きで……かなりの重傷だってことがわかる。

この時間帯にここを通る者は、いない……ソレを人工知能では割り切っているが……いや、この基地の管理を任されている自分なら知っている。
ここに入る前シャッターで外界から隔離したのだから。

さぁ、睦言を存分に愉しもうか？

メタルもまた目の前の男――シャドーと供に堕ちる。
今夜だけは。

で、次の朝は何事もなく、二人はそれぞれの仕事に赴きます。
普段はストイックなのに、二人でいるときだけは違うっといった設定が好きなんで……。